就労継続支援B型とは?

はじめに

障害者の支援をしていると、就労継続支援A型とB型という言葉を聞くと思います。

障害者の方の支援制度であることは分かるかと思いますが、どのような差異があるか説明出来る人は少ないと思います。

そこで、今回は、両方の差異を解説しつつ、就労継続支援B型 とはをわかりやすく説明します。

 

     

    1 . 概要

    まず、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスには、

    就労希望者に一定期間に必要な知識や能力の訓練を提供する就労移行支援

    就労継続支援

    一般企業に新たに雇用された障害者に対し、日常生活又は社会生活を営む相談、指導及び助言をする就労定着支援

    があります。

    今回は就労継続支援に限って説明します。

    就労継続支援は、社会などでフルタイムで働くことが難しい人が、障害や体調に合わせて自分のペースで働いたり、就労訓練をするサービスをいいます。一般的にA型は、就労者と雇用者が契約を結び、一般的な就労を短時間の枠組みで実施します。他方でB型は雇用関係を結びません。障害を抱えている人たちが就労の訓練を行ったり、A型に移行するためにスキルアップを目指すところです。A型とB型の差異は、対象者、利用期間及び給与面で比較されることが多いです。

     就労継続支援A型の施設は全国で3700か所、利用者は約72000人、就労継続支援B型の施設は全国で13000カ所、利用者は約269000人とされています。就労移行支援や就労継続支援AB型から一般企業に移行した人数は今から20年前の平成15年では1288人であったものの、令和元年には21000人と17倍にも増加しております。特別支援学校から一般企業への就職者が約7000人であることを考えると、就労継続支援の制度が対象者に対して、一般企業に就労できる能力や知識を提供していることは言うまでもありません。

    2 . 就労継続支援A型とB型の違い

    対象者と施設内容

     就労継続支援Aは、1864歳以下の方が利用できる施設で、特別支援学校を卒業した学生や就労移行施設で就活をしたものの、就職ができなかった人が対象になっています。また、一度退職をして離職状態が続いている方も利用可能です。

    他方で、就労継続支援Bは、就労移行支援事業等を利用した人や特別支援学校卒業生で一般企業に就職することができなかった者や一定の年齢以上で就労の経験を通じて、知識や能力の向上が期待される人を対象にしています。上記の人や障害基礎年金1級を取得している人、就労移行施設のアセスメントにより就労の課題が指摘されている人、A型を利用できない65歳以上の人も利用できます。

     

     施設内容としては、就労継続支援A

    通所により、雇用契約による就労の機会を確保し、一般的な就労に必要な能力や知識を身につけられるように支援する、

    障害者以外の雇用も可能、

    多種多様な事業により、多くの人の就労機会を確保し、障害者10名以上の利用が可能です。

    就労継続支援Bは、

    就労継続支援A型と異なり、雇用関係は結ばなないものの、一般的な知識や能力を提供し、特定の人には一般就労への移行を目指す、

    平均工賃を月3000円以上にする、

    事業者は工賃の目標水準を設定し、都道府県に報告しなければならないとされています。

     

    利用期間と利用料

     就労継続支援Aは上記で示したように雇用関係により就労するので、利用期間の制限などはありません。各事業者と相談して検討することになります。これは、就労継続支援Bも同様ですが、雇用契約を結ばないので、就労者ごとに応じた期間を設定することができます。利用料に関しては、就労継続支援A型とB型は殆ど同じで、生活保護世帯や非課税世帯は無料ですが、基本的には収入によって変わります。一般的に大体30000~35000円ほどかかります。

    給与

     就労継続支援Aは、雇用契約を結んで働くので、基本的な賃金は保証されています。そのため、平均月額給料は76687円となっています。フルタイムで働いているわけではないので、この金額になっておりますが、週3とかであれば十分な金額だと言えます。

     他方で、就労継続支援Bは事務所と契約関係を結ばず、工賃という名目で給料を貰うことになります。そのため、平均月額給料16618円となっており、最低賃金を下回っております。ただ、就労継続支援B型は障害を抱えている人たちが就労の訓練を行う場所であるので、お金を稼ぐ場所ではないことを忘れてはいけません。

     

     

    3 . 終わりに

    今回は、就労継続支援A型と就労継続支援B型の差異を解説しながら、就労継続支援B型がどういう施設なのかを説明いたしました。

    今回の記事をまとめると、対象者は就労継続支援A型よりも幅広く、利用期間と利用料は利用者ごとに変わり、給与は就労継続支援A型よりも低くなります。就労継続支援の利用を検討している方は自分がどちらの施設がいいかよく考えてから入りましょう。

     

     

    この記事の監修者
    あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
    千葉 直子
    2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
    2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
    専門分野:障害福祉
    高校・大学とボランティア部に所属
    福祉系大学を卒業
    【セミナー実績】
    障害福祉行政書士のための法令と事例解説
    行政書士向けコミュニティでのセミナー
     千葉直子アカウント