就労継続支援B型はどういうところ?

はじめに

就労継続支援の他にも様々な障害福祉サービスがあります。

それぞれのサービス趣旨や目的があり、困り感を抱える人たちのサポートをしています。今回、障害福祉サービスの種類を紹介しつつ、就労継続支援B型がどのような趣旨で存在し、どんな支援をしているのか説明します。

1. 就労継続支援B型の立ち位置とは?

そもそも、障害福祉サービスは、介護給付訓練等給付障害児支援相談支援に区別されています。

介護給付は、障害者に対して、生活の支援を行うことが主な主旨とされており、居宅介護、行動援護、療養介護、生活介護や施設入所支援があります。

訓練等給付は、障害を有する者や背活に不安を抱える人に対し、自立できるようなサポートをする趣旨にあり、就労継続支援AB型もここに分類されます。

他には自立生活援助、自立訓練や就労定着支援もあります。

障害児支援には、障害や精神、生活的に活動が不安定な子供のサポートをする施設で、放課後デイサービスや福祉型・医療型障害児入所施設があります。

相談支援は、支援よりも対象者の相談に乗る趣旨があり、計画相談支援や地域移行支援があります。 

 

2. 就労系サービス

まず、障害福祉事業の就労系サービスには、

訓練・研修を実施する就労移行支援

就労を実施する就労継続支援A型及び就労継続支援B

があります。これら二つは、一般就労に移行することを目的に実施されているサービスであるが、その内容は少し異なります。

 就労移行支援サービス、通常の営業所に雇用されることができる就労を希望する障がいのある人に、概ね2年間を目処に、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練である職場体験や実習を提供し、就労に関する相談や支援を行い、職場を探し、一般就労に移行するための支援をします。

就労時間は午前中から夕方ぐらいまでが一般的です。ただ、雇用関係はなく、賃金や工賃も発生しません。

就労訓練の内容としては、一般企業への就労移行に必要な知識やスキルを提供するので、例えば、簿記や会計などの事務作業訓練、パソコンスキルの訓練(word,excel,powerpoint)やメール対応などのビジネスマナーを学習します。これを複数訓練しているところや一つに特化して行っていることもあります。また、企業実習として実際の企業に就労体験を行う施設もあります。

 これに対して、就労継続支援型、特にBは、一般企業などに雇用されることが困難な障害のある方に対し、生産活動などの機械の提供、知識及び能力の向上のために必要な訓練などを行います。そのため、就労移行支援サービスとは異なり、「仕事」そのものを有る環境で行うことになります。

 両者の違いとしては、就労移行支援は企業で働くために必要なスキルを身につけるサポートや就活や就職後の相談に乗ることを目的としています。他方で、就労継続支援は、障がいのために企業で働けない、または、困難な人に、就労や生産活動の機会を提供し、一般就労に必要なスキルを身につけるための支援を目的としています。まとめると、就労に必要な能力の習得し、就職することを目的とするのか、就労に必要な能力の取得を目的とするのかの違いがあります。また、就労継続支援A型との違いは、雇用契約と給与体系にあります。

 

3. 就労継続支援B型の現状

就労継続支援B型の負担総額費用は、年を追うごとに増加しており、令和元年では約3814億円と前年度と比較し、8%増加しています。

利用者数や事業者数も同様に増加しており、利用者数は269339人と前年度比較で5%増加、事業者数は13117ヶ所と前年度と比較し5%増加しています。この伸び率は就労継続支援A型と異なり、著しい増加であり、今後も負担額・利用者数・事業者数の増加が見込まれます。

4. 就労継続支援B型のサービス内容

就労継続支援B型の施設が実際にどのようなサービスを実施しているかスケジュールにして確認してみましょう。

X施設】

9:30 朝礼や体操、ストレッチ及びスケジュール確認

10:00 仕事開始(農作業)

11:00 昼休み・休憩

13:30 仕事開始(袋詰めや検品、梱包など)

15:00 帰りの会(片付けや清掃)

Y施設】

9:30 朝礼や体操及びスケジュール確認

10:00 仕事開始(ドーナツやパンの製作、コーヒーやドレッシングの仕込み)

11:00 昼休み・休憩

13:30 仕事開始(ビジネスマナー、紙のラミネート)

15:00 帰りの会(片付けや清掃)

一部の施設のスケジュールを紹介しましたが、多くの施設で仕事内容としては、簡単な調理や農作業、事務作業やビネジスマナーの学習が行われています。ただ、これはあくまで一つの事例であるので、その人の障害の程度によって、仕事内容を変えられる部分も就労継続支援の特徴だと言えます。また、スケジュールを策定することで計画意識を持つこともできます。

 

まとめ

今回は就労継続支援B型がどんな趣旨で存在し、どのような支援をしているかを説明しました。

まとめると、就労継続支援B型は、就労に必要な能力の取得を目的としており、他の障害福祉サービスとは異なっています。障害福祉サービスは人に合わせた支援ができるように様々な制度が存在しているので、自分にあった支援を受けられる施設を選択することが大切だと言えます。

 

 

この記事の監修者
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
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