就労継続支援A型を開業するには?

就労継続支援A型を開業するために、必要な条件や、確認すべきことがあります。

それを確認しながら、就労継続支援A型どんなところなのかもご紹介していきます。

就労継続支援A型を開業するための要件

1.法人格を有すること

障害福祉事業を行うためには、まずは、法人格があることが必須条件となっています

指定権者によっては、事前説明会の参加にも法人格であることを求めるところもあります。

事業者が社会福祉事業以外の法人である場合「専ら社会福祉事業を行う者でなければならない」ため、定款に社会福祉事業以外の事業目的を記載してはいけません。

この「専ら社会福祉事業を行う者」とは「社会福祉事業しか行わない法人」のことです。

つまり「社会福祉事業だけを行う法人」以外は指定申請ができないため、社会福祉事業以外の事業を定款に記載している法人は新たな法人格を取得しなくてはなりません

その事業、その法人格に適した定款の目的の文言がありますので、よくわからないなぁという方は、ぜひ、一度ご相談ください。

【法人格とは?

有名なのは株式会社ですね、その他にも合同会社、NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人などがあります。今後の事業展開などにより適切な法人格がありますので、そちらもぜひご相談くださいませ。

2.事業所の指定基準を満たすこと

【指定基準とは?

 ❶人員配置基準

 人員基準を知る上で必要な「常勤換算」という言葉があります。まずは、そちらをご説明します。

 常勤換算とはその事業所で働く平均職員数を指します。

 事業所で働く職員すべてが正社員常勤勤務ではないため、それぞれの労働時間異なります。

 その労働時間が異なる人含めてフルタイムで計算すると配置基準時間を下回ってしまいます

 そうならないために、全従業員労働時間を合計して「常勤の人何人働いているか」に換算します

 就労継続支援A型において必須となる人員は以下の通りです。

  ・管理者・・・1人(業務に支障をきたさなければ他の役職と兼務が可能です)

  ・サービス管理責任者・・・常勤者1人以上

  ・職業指導員・・・101(利用者数:職員数)

  ・生活支援員・・・101(利用者数:職員数)

  ※ 管理者の資格要件・・・次いずれかを満たす方

  ①社会福祉主事資格要件に該当する

  (社会福祉士、精神保健福祉士等も同等)

  ②社会福祉事業に2年以上従事した経験ある

  ③社会福祉施設長認定講習を修了

  ④企業経営経験がある(概ね1年以上)

設備基準

1)訓練・作業室

・訓練または作業に支障がない広さを有し、必要な機械器具等を備えていること。

・居室床面積:入所者1人あたり8.0㎡以上であること。

・収納設備等、避難口、寝台又はこれに代わる設備を設置すること。

・地階への設置は不可。

(2)相談室

・苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じること。

・室内における談話の漏洩を防ぐための間仕切り等を設けること。

(3)多目的室

・サービス提供のスペース、または利用者の食事や談話するためのスペース。

※利用者支援に支障がなければ相談室との兼用することができます。

(4)洗面所 

手指を洗浄する設備を備えること。

障害者の使用する設備及び飲用に供する水に衛生上必要な措置を講じること。

(5)トイレ

・利用者の特性に応じたものであること。

3.適正な運営が見込めること

サービスの提供の開始にあたり、あらかじめ利用申込者に対して、運営規定の概要、職業指導員、生活支援員等の勤務の体制などの重要事項を記した文書を交付して説明を行い、利用申込者の同意を得ることになっています。

運営基準の主な項目は次のとおりとなっています。

・内容及び手続の説明及び同意

・契約支給量の報告等

・サービス提供の記録

・利用者負担額の受領等

・訓練等給付費等の額に係る通知

・個別支援計画の作成

・勤務体制の確保

・定員の遵守

・非常災害対策

衛生管理

身体拘束等の禁止

虐待等の禁止

秘密保持等

苦情解決

事故発生時の対応

記録の整備

指定基準は自治体によって詳細が異なります。

詳しくは市町村のホームページまたは管轄課の窓口にお問い合わせください。

 

 

A型事業所の開設を考えた際に確認すべき項目

1.事業資金(約800万円~1600万円以上)がよく聞く数値です

(※資金額はあくまでも参考であり、保証するものではありません。)

2.法人(株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人等)を設立できる。

3.法人の定款内「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」という項目の有無

4.申請する者および関係役員管理者が福祉関係法で違反、または違反後5年以上経過している。

5.申請する者が、禁固刑および福祉関係法・労働関係法で罰金刑をうけていない。

6.指定基準にある設備要件の備えた事業所がある、または見つけることが可能である

7.事業所が違法建築物でない。事業所予定地が、土砂災害区域内でない。

8.事業所内外で利用者にさせる仕事がある、または仕事を見つけることが可能である

9.社会福祉事業に2年以上従事した者や企業の経営経験者又は役員等がいる、または見つけることが可能である

10.福祉関係有資格者(例:介護職員初任者研修(ヘルパー2級)取得者+実務経験5年以上)がいる、または見つけることが可能

11.事業所予定地近郊で、病院(医院)と連携体制を取るための書面をもらうことが可能、または見込められる。

12.利用者(障害者)が3~5人程度いる、または見込められる。

A型事業所の基準定員は10人となっていますが、開業時に10人揃える必要はありません。)

13.事業所で福祉関係の損害賠償保険に入る事が可能、または見込められる。

こちらのあくまでも参考の記事になります。その方の状況や、指定権者により指定基準などが異なる場合がありますので各指定権者のHPなどでご確認をお願い致します。

 

この記事の監修者
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
 千葉直子アカウント