就労継続支援B型を開業するには
はじめに
いざ、就労継続支援B型の施設を開業したいとしても、すぐに開業することはできません。
様々な申請書を作成し、資料を収集し、都道府県の健康福祉部に書類を提出しなければなりません。
今回は就労継続支援B型を開業する際に、何が必要になるか説明いたします。
1.申請
まず、都道府県ごとに対応は異なると思いますが、事前に申請する都道府県庁の福祉課に連絡が必要になります。そこで、申請内容や予約日などを確認して申請に進んでいきます。
申請の種類には、①新規申請、②更新申請、③変更申請があります。今回は新規申請に関して、説明させていただきます。
新規申請を理解しておけば、更新申請や変更申請も難易度は高くないので、容易に資料作成や資料収集ができると思います。
⑴指定障害福祉サービス事業者指定申請書
就労継続支援事業B型は20名以上の利用者が必要となりますが、都道府県知事の承諾により特定の事業があれば、10名でも可能です。
⑵就労継続支援事業者の指定に係る記載事項
⑶法人の定款
目的に社会福祉法人なら「第二種社会福祉事業 障害福祉サービスの経営」、それ以外は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」と記載されていることが必要。
⑷法人の履歴事項全部証明書
これは認定を受ける企業の登記簿のことです。本店の所在地を管轄する法務局で発行することができます。注意点としては、履歴事項全部証明書には有効期限があります。概ね3ヶ月とされていますので、注意しましょう。
⑸事業者の平面図
事務所に必要な施設としては、作業室、器具・備品、洗面設備、トイレ、相談室、事務室、利用者が使用する多目的室が必要となります。作業室は都道府県によって異なりますが、大阪府の場合、一人当たり最低面積3平方メートルが必要です。また、障害者の特性に対応できるように、バリアフリーや手すり、消防施設や避難設備も必要です。
⑹設備・備品の一覧図
⑺管理者の経歴書
管理者の設置要件として、①社会福祉主事任用資格、②社会福祉事業に2年以上従事した人、③社会福祉施設庁資格認定講習会を修了したことが必要になります。管理者は専任または常勤である必要があります。
⑻サービス管理責任者の経歴書
サービス管理責任者は就労者に対して個別支援計画書を作成します。要件としては、実務経験(5年間)と相談支援従事者研修、サービス管理責任者研修修了が要件になっており、利用者が60人以下の施設は1人以上、60人超過の場合は100人までは2人、以後40人ごとに1人の増員が必要です。
なお、このほかにも職員指導員や生活支援員が必要で、どちらが常勤である日宇町があります。
⑼従業員などの勤務体制及び勤務形態の一覧表
この勤務一覧表には、管理者と従業者全員の毎日の勤務時間を4週間に分けてを記載します。職種は、管理者、職業指導員、生活支援員、その他の職員に区分して記載するので、1人ずつのシフトを確定するように記載する必要があります。
⑽工賃向上
支払う工賃の目標を決めて、都道府県・市町村・利用者に公表し、知事にこれを提出します。この目標は月額3000円以上、又は、地域の最低賃金1/3を目安に設定されます。この目標が達成されると、事務所は目標工賃達成加算を受けられ、報酬単価に加算される。
上記の他にも就業規則、事業計画書、収支予算書、運営向上、事務所の登記簿などが挙げられます。
2.報酬と加算
基本的に就労継続支援B型は給付金の算定額から報酬が決まり、施設へ給付されます。
つまり、この報酬によって施設の運営資金は賄われていると言え、この報酬額を見定めることで施設の将来が決まります。
例えば、大阪市で20名以下で、職員と利用者割当(7.5:1)の就労継続支援B型の施設を開業する場合、地域区分の一つ単位あたり額が2級地なので11円、基本単位が527単位だとすると、一人の利用者につき5797円、これを20名で一月で22日間利用されると、約255万円ほどが本体報酬として給与されます。ただ、この金額だと従業員や家賃を支払うと、利益が殆ど生じないので、加算制度を使用して、単位額を上げることが多いです。
加算制度としては、福祉専門職配置、重度者支援加算、訪問支援加算、目標工賃達成指導員加算、施設外就労加算、食事提供加算、医療連携加算、送迎加算など様々あります。例えば、福祉専門職加算、目標工賃達成指導員配置、送迎加算、訪問支援加算、施設外就労支援加算を入れると、752単位になるので、月の報酬は363万円ほどに上がります。
施設の規模をどの程度までにするか検討して加算を利用することが大事です。
終わりに
