【2026年最新版】重心型放課後等デイサービスとは?対象児・人員基準・令和6年度報酬改定後のポイント

最終更新:2026年7月

今回は、放課後等デイサービスの中でも、「重心型放課後等デイサービス」について、できるだけ分かりやすくご説明します。

放課後等デイサービスには、一般的な放課後等デイサービスのほかに、重症心身障害児を主な対象とする、

いわゆる「重心型」の事業所があります。

重心型放課後等デイサービスでは、発達支援だけでなく、健康状態の確認、食事や排せつ、移動の介助、機能訓練、医療的ケアへの対応など、お子さん一人ひとりの状態に応じた、専門性の高い支援が必要になります。

一般的な放課後等デイサービスとは、人員基準や定員、設備、報酬の考え方にも違いがあります。

この記事では、

  • 重心型放課後等デイサービスとはどのような事業所なのか
  • どのようなお子さんが利用するのか
  • どのような職員を配置する必要があるのか
  • 令和6年度報酬改定で何が変わったのか

といった点を、2026年7月時点の制度に基づいて解説します。

重心型放課後等デイサービスとは?

「重心型放課後等デイサービス」という言葉を聞いたことはありますか?

実は、「重心型放課後等デイサービス」は、法令上の正式なサービス名称ではありません。

正式には、放課後等デイサービスのうち、「主として重症心身障害児を通わせる事業所」を指します。

実務上は、

  • 重心型放デイ
  • 重症心身型放デイ
  • 重症児型放デイ

などと呼ばれることがあります。

対象となるのは、学校に通っている重症心身障害児です。

学校が終わった放課後や、土曜日、夏休みなどの学校休業日に事業所へ通い、日常生活に必要な支援や、身体機能の維持・向上に向けた訓練、コミュニケーション支援、社会との交流などを受けます。

一般的な放課後等デイサービスは、原則として利用定員10人以上で指定を受けます。

一方、主として重症心身障害児を受け入れる事業所については、利用定員5人以上から指定を受けることができます。

「定員が5人なら、小さな事業所でも始められそう」と思われるかもしれません。

しかし、重心型放デイでは、少人数の事業所であっても、看護職員や機能訓練担当職員などの専門職を配置し、手厚い支援体制を整える必要があります。

そのため、一般的な放デイと比べて、開業前に検討しなければならないことが多い事業でもあります。

 

重症心身障害児とは?

重症心身障害児とは、一般的に、重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複しているお子さんをいいます。

例えば、

  • 自分で姿勢を保つことが難しい
  • 食事や排せつに継続的な介助が必要
  • 寝返りや移動を一人で行うことが難しい
  • 言葉による意思表示が難しい

といった状態のお子さんがいます。

また、てんかん、呼吸障害、摂食・嚥下障害、側弯など、さまざまな症状や合併症を併せ持っていることもあります。

ただし、必要な支援は、お子さんによって大きく異なります。

同じ障害名であっても、身体の状態、医療的ケアの有無、意思表示の方法、家庭での生活状況などは、一人ひとり違います。

そのため、障害名だけを見て一律に支援内容を決めるのではなく、本人の状態や生活環境を丁寧に確認し、個別に支援内容を考えることが大切です。

重症心身障害児と医療的ケア児は同じ?

ご相談を受けていると、

「重症心身障害児と医療的ケア児は、同じ意味ですか?」

と聞かれることがあります。

この2つは、同じ意味ではありません。

医療的ケア児とは、日常生活や社会生活を送るために、医療的ケアを継続して必要とするお子さんをいいます。

例えば、次のような医療的ケアがあります。

  • 人工呼吸器の管理
  • たんの吸引
  • 経管栄養
  • 酸素療法
  • 気管切開部の管理
  • 導尿

重症心身障害児の中に、医療的ケアを必要とするお子さんが含まれることはあります。

一方で、歩いたり身体を動かしたりすることができるものの、日常的に医療的ケアが必要な、いわゆる「動ける医療的ケア児」もいます。

この違いは、人員配置や基本報酬、加算の算定を考えるときにも重要です。

「医療的ケア児を受け入れるから重心型になる」というわけではありませんので、

事業所の対象児や指定の形態を決める際には、整理して考える必要があります。

重心型放デイでは何をするの?

重心型放デイは、医療的な対応や介助が必要なお子さんを受け入れます。

ただし、単なる「預かりの場所」や「医療処置をする場所」ではありません。

放課後等デイサービスですので、児童発達支援管理責任者が作成する個別支援計画に基づいて、お子さんの発達や生活を総合的に支援します。

現在の放課後等デイサービスガイドラインでは、本人支援について、次の5領域との関連性を踏まえて支援内容を組み立てることが求められています。

  • 健康・生活
  • 運動・感覚
  • 認知・行動
  • 言語・コミュニケーション
  • 人間関係・社会性

重心型放デイでは、例えば次のような支援が行われます。

  • 体温、呼吸、表情などの健康状態の確認
  • 食事、排せつ、移乗、姿勢保持などの日常生活上の支援
  • 拘縮予防や身体機能の維持を目的とした機能訓練
  • 音、光、触覚、遊びを通じた感覚への働きかけ
  • 視線、表情、スイッチなどを使ったコミュニケーション支援
  • 看護職員による医療的ケア
  • 保護者からの相談対応
  • 学校、医療機関、相談支援事業所との連携

例えば、言葉で気持ちを伝えることが難しいお子さんであっても、視線や表情、身体の動きなどから本人の意思を読み取り、コミュニケーションにつなげていく支援があります。

また、お子さん本人への支援だけでなく、保護者の相談に応じたり、ご家庭での介護負担を軽減したりすることも、重心型放デイの大切な役割です。

本人支援、家族支援、移行支援、地域支援・地域連携を一体的に行うことが求められます。

重心型放課後等デイサービスの人員基準

ここからは、重心型放デイに必要な職員について見ていきましょう。

主として重症心身障害児を通わせる放課後等デイサービスでは、一般的な放デイとは異なる人員配置が必要です。

管理者

管理者は、1人以上配置します。

事業所全体の運営管理や、職員の管理、法令遵守、利用者対応などを行う役割です。

原則として、事業所の管理業務に従事しますが、管理業務に支障がない場合には、児童発達支援管理責任者など、ほかの職種との兼務が認められることがあります。

ただし、

「管理者と児発管は、必ず兼務できる」

というわけではありません。

事業所の規模や利用児童の状態、管理者が担当する業務量、勤務時間などによって判断が異なります。

開業前に、指定権者へ確認しておくことをおすすめします。

嘱託医

嘱託医は、1人以上必要です。

利用児童の健康管理や、医療面での助言、緊急時の連携などを行える体制を整えます。

契約書を作成して名前だけを登録すればよいということではなく、日頃から相談できる関係や、緊急時に連携できる体制を作っておくことが大切です。

看護職員

看護職員は、1人以上配置します。

看護職員には、次の資格を持つ人が該当します。

  • 保健師
  • 助産師
  • 看護師
  • 准看護師

看護職員は、利用児童の健康状態の確認や、医療的ケア、緊急時の対応などを担います。

医療的ケア児を受け入れる場合には、看護職員を1人配置すれば必ず足りるというわけではありません。

必要な医療的ケアの内容、医療的ケアスコア、利用する児童の人数、利用時間などによっては、基準を上回る看護職員の配置が必要になります。

特に、複数のお子さんに同じ時間帯で医療的ケアを行う場合や、送迎中にも看護職員の対応が必要な場合には、事業所内の配置も含めて慎重に検討する必要があります。

児童指導員または保育士

児童指導員または保育士を、1人以上配置します。

日常生活上の支援、遊びや活動を通じた発達支援、コミュニケーション支援、集団活動などを担当します。

重心型放デイでは、看護職員だけではなく、福祉や保育の視点からお子さんの発達を支援する職員も必要です。

機能訓練担当職員

機能訓練担当職員を、1人以上配置します。

利用児童が日常生活を送るために必要な機能訓練を行います。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが配置されることもあります。

ただし、機能訓練を実施しない時間帯については、機能訓練担当職員を配置しないことができます。

事業所として、いつ、どのような機能訓練を実施するのかを決めたうえで、勤務時間を設定する必要があります。

児童発達支援管理責任者

児童発達支援管理責任者は、1人以上必要です。

児童発達支援管理責任者は、利用児童のアセスメントを行い、個別支援計画を作成します。

また、支援の実施状況を確認するモニタリング、保護者への説明、学校や医療機関などの関係機関との連携も行います。

重心型放デイでは、医療的な視点だけでなく、発達支援や家族支援を含めて個別支援計画を作成することが重要です。

 

サービス提供時間を通じた職員配置が必要です

重心型放デイの人員基準で、特に注意していただきたいのが、職員を配置する時間帯です。

現行のQ&Aでは、重心型の従業者について、一律に専従でなければならないとされているわけではありません。

一方で、支援の単位ごとに、サービスを提供する時間帯を通じて、次の職員をそれぞれ1人以上配置する必要があると整理されています。

  • 児童指導員または保育士
  • 看護職員
  • 機能訓練担当職員

ただし、機能訓練を行わない時間帯については、機能訓練担当職員を配置しないことができます。

ここで大切なのは、必要な資格を持つ職員を人員名簿に載せるだけでは足りないということです。

例えば、サービス提供時間中に看護職員が送迎に出てしまい、事業所内に看護職員が不在になるケースがあります。

また、職員が休憩に入ったときに、基準上必要な職種が一時的に不在になることも考えられます。

勤務表を作成するときは、

  • 実際のサービス提供時間
  • 利用児童の人数や状態
  • 職員の休憩時間
  • 送迎に出る職員
  • 欠勤時の代替職員
  • 医療的ケアを行う時間

まで確認する必要があります。

「人数はそろっているけれど、時間帯ごとに確認すると基準を満たしていなかった」ということがないように注意しましょう。

令和6年度報酬改定で変わったポイント

令和6年度、つまり2024年度の報酬改定では、重症心身障害児や医療的ケア児への支援について、基本報酬や加算の見直しが行われました。ここでは、重心型放課後等デイサービスに関係する主な変更点をご紹介します。

1.基本報酬の定員区分が見直されました

従来は、利用定員が1人増えるごとに報酬単価が下がる細かな区分となっており、定員を増やしにくいという課題がありました。

令和6年度報酬改定では、重心型放デイの定員区分が、次の3区分に見直されました。

  • 利用定員5人以上7人以下
  • 利用定員8人以上10人以下
  • 利用定員11人以上

地域の利用ニーズに応じて、既存事業所が定員を増やしやすくするための見直しです。なお、重心型放デイには、一般型の放デイに導入された支援時間による基本報酬の区分はありません。定員を増やす場合は、報酬だけでなく、設備面積、人員配置、送迎体制なども確認しましょう。

2.入浴支援加算が新設されました

医療的ケア児または重症心身障害児に対して、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合の「入浴支援加算」が新設されました。

放課後等デイサービスでは、利用児童1人につき、1回70単位、1事業所当たり月8回まで算定できます。

算定には、入浴支援を個別支援計画に位置付けたうえで、次のような体制を整える必要があります。

  • 必要な浴室や衛生設備を備えること
  • 児童の状態に応じた安全な支援体制を確保すること
  • 入浴方法や手順を書面で整理すること
  • 入浴機器の点検や職員研修を行うこと
  • 安全確保の取組を安全計画に位置付けること

児童の状態によっては、看護職員との連携や複数職員による介助も必要です。

清拭のみでは算定できません。シャワー浴については、洗身まで行った場合に算定できます。

入浴支援を予定している場合は、物件選びの段階で、車いすの移動経路、脱衣場所、介助スペースなども確認しましょう。

3.送迎加算が見直されました

令和6年度報酬改定では、児童の医療的ケアの程度や、送迎時に必要な職員配置を踏まえて、送迎加算が見直されました。

重心型放デイの送迎加算は、次のとおりです。

  • 重症心身障害児:40単位/片道
  • 医療的ケアスコア16点以上の医療的ケア児:80単位/片道
  • それ以外の医療的ケア児:40単位/片道

重症心身障害児を送迎する場合は、運転手に加えて、直接支援を行う職員を1人以上同乗させます。

医療的ケア児の場合は、看護職員など、医療的ケアができる職員の同乗が必要です。

送迎車両についても、車いすの固定、医療機器の置き場所、急変時の対応方法などを確認します。

また、送迎に職員が出た結果、事業所内の人員基準を満たせなくならないよう注意しましょう。

4.医療連携体制加算(Ⅶ)が見直されました

認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により、たんの吸引や経管栄養などを行った場合の「医療連携体制加算(Ⅶ)」も見直されました。

単位数は、1日100単位から、1日250単位に引き上げられています。

また、改定後は、主として重症心身障害児を通わせる事業所でも算定できるようになりました。

ただし、次の場合は算定できません。

  • 医療的ケア区分による基本報酬を算定している場合
  • 医療連携体制加算(Ⅰ)から(Ⅴ)を算定している場合
  • 看護職員加配加算を算定している場合

実際に算定する際は、職員の資格や認定、医療機関との連携体制、ほかの加算との併算定の可否を確認しましょう。

2026年時点で注意したい運営上のポイント

令和6年度報酬改定は、すでに施行されています。

現在は、改定内容を実際の運営に落とし込み、適切な人員配置、計画作成、記録、届出を行うことが必要です。

また、2026年度には、障害福祉サービス等の処遇改善加算についても見直しが行われています。

対象職員や賃金改善の方法、計画書、実績報告などについて、最新の様式や取扱いを確認する必要があります。

重心型放デイでは、看護職員や機能訓練担当職員など、複数の専門職を配置します。

どの職種まで処遇改善の対象とするのか、どのように配分するのかについても、法人内で整理しておきましょう。

また、2024年4月から、放課後等デイサービスでは、5領域との関連性を明確にした「支援プログラム」の作成と公表が求められています。

2025年4月以降、支援プログラムを公表していない場合や、指定権者へ必要な届出を行っていない場合には、支援プログラム未公表減算の対象になります。

重心型放デイについても、事業所で行っている支援を5領域と関連付けて整理し、分かりやすく公表する必要があります。

重心型放デイを開業するときの注意点

重心型放デイを開業する場合は、一般的な放デイの指定基準に加えて、医療や介助に関する体制も具体的に検討する必要があります。

例えば、次のような点です。

  • 医療的ケアの実施手順
  • 緊急時や急変時の対応
  • 嘱託医や協力医療機関との連携
  • 停電や災害時の医療機器用電源
  • 福祉車両や車いすに対応した送迎体制
  • 入浴、移乗、排せつに必要な設備
  • 感染症対策
  • 学校や医療機関との情報共有
  • 看護職員が欠勤した場合の代替体制

重心型放デイの開業で、特に注意していただきたいのが、物件と人員です。

例えば、物件を契約した後になって、

「車いすでは浴室まで移動できない」

「必要な医療機器を置くスペースがない」

「避難経路を確保できない」

「福祉車両を駐車できない」

と分かることがあります。

また、物件や設備の準備が整っていても、看護職員や児童発達支援管理責任者を採用できなければ、予定どおりに開業することができません。

物件を契約した後に問題が分かると、開業時期が大きく遅れたり、物件の変更が必要になったりすることもあります。

そのため、指定権者、消防、建築関係部署などへの事前確認を行いながら、事業計画、物件、人員採用を並行して進めることが大切です。

特に重心型放デイについては、物件を先に契約してしまう前に、指定権者へ事前相談を行うことをおすすめします。

まとめ

今回は、重心型放課後等デイサービスについて解説しました。

重心型放課後等デイサービスは、重症心身障害児の発達と暮らしを、地域の中で支える大切な障害児通所支援です。

利用定員5人以上から開設できますが、少人数だから簡単に運営できるわけではありません。

管理者や児童発達支援管理責任者のほかに、

  • 嘱託医
  • 看護職員
  • 児童指導員または保育士
  • 機能訓練担当職員

などの専門職を配置する必要があります。

また、令和6年度報酬改定では、基本報酬の定員区分、入浴支援、送迎支援、医療的ケアへの評価などが見直されました。

開業や運営を検討するときは、全国共通の基準だけではなく、指定を受ける自治体の条例、申請手引き、事前相談の方法も確認することが大切です。

あいまり行政書士法人では、放課後等デイサービスをはじめとする障害福祉事業の開業、指定申請、加算届、運営支援を行っています。

重心型放デイの開業を検討されている場合は、物件を契約したり、職員採用を本格的に進めたりする前の段階から、お気軽にご相談ください。

※本記事は、2026年7月時点の法令、通知、Q&A等をもとに作成しています。実際の指定申請や加算算定にあたっては、指定権者の最新の取扱いをご確認ください。