重心型 放課後等デイサービスとは?

放課後等デイサービス、以前よりも福祉サービスが浸透し、最近、名前は聞くようになった人もいるかもしれません。

放課後等デイサービス。略して、『放デイ』 と呼ばれることが多いです。

文字からは、一見、学校が終わった放課後のお預かりかなっ?っという認識をもたれている人もいると思います。

 

放デイは、国の障がい福祉サービス制度の一つの事業の施設になります。

障がいをお持ちのお子さんや、発達に不安のあるお子さんが、学校(授業)が終わった後や、休日や、長期休暇など、

主に療育のためにこのサービスを利用しています。

 

そして、この放デイは、実は2種類にわけられます。

・重心型 の放デイ

・重心型以外の 放デイ

 です。

 

実は、よく聞くのは、重心型以外の 放デイ だったりします。のちほど、その事業数にも触れたいと思います。

では、この 重心型 放デイ とは一体どのような事業所なのかを、このページでご説明いたします。

重心型 放課後等デイサービスをわかりやすく解説します

重心型 放デイ とは?

正しくは、重症心身型の 放課後等デイサービス になります。

重症心身障害を、お持ちのお子さんを対象とした 通所型の福祉サービスになります。

重症心身障害とは?

重症心身障害とは?

重度の身体の不自由と、重度の知的障害が重複している状態のことをいいます。

食事や移動、入浴、排泄、寝返りなどを自分一人ですることが困難な状態であることがあります。

重症心身障害という言葉は、医学的診断名でなく、児童福祉法上の定義であることも知っておきましょう

重症心身障害はどういった原因でなるの?

重症心身障害はどういった原因でなるのでしょうか?

重症心身障害の発生原因は、さまざまな要因が考えられています。

まずは、出生前の原因として、胎内感染症、脳奇形、染色体異常などによるものや、

出生時、または、新生児期の原因として、分娩異常、早産、極低出生体重児、超低出生体重児、重症仮死、

低酸素、脳内出血などによるもの、周産期以後の原因として、髄膜炎脳炎などの中枢神経感染症、てんか

などの症候性障害によるものや、その他原因不明なものが挙げられています。

 

 

てんかん、呼吸障害、摂食嚥下障害、排泄障害、胃食道逆流症、イレウス、骨粗鬆症、骨折、側彎など、

さまざまな合併症があります。

 

重心型 放デイの どういった人が働いているの?

医療の専門知識を必要とすることから、医師や看護師さんの力や専門的知識・技術も必要となってきます。

重心型放デイの働く人、人員基準も示しながら、どういった人が働いているか見ていきましょう。

 

管理者 ・1人以上 常勤要件必須資格等 なし

・原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するもの

・児発管との兼任可能(業務に支障がない場合)

児童発達支援管理責任者 ・1人以上 専ら当該事業所の管理業務に従事するもの
児童指導員または保育士 1人以上 ●営業時間を通じて配置
嘱託医  1人以上
看護職員 1人以上 ●営業時間を通じて配置

医療的ケアの基本報酬を算定する場合は、基準の看護職員とは別の看護職員を医療的ケア時の利用時間帯を通じて配置すること

※機能訓練担当職員 ・1人以上 機能訓練を行う時間帯のみ配置

      

 

重心型 放課後等デイサービス 現状と令和6年度にむけて

重心型 放課後等デイサービスの現状と、今後にむけた検討をみていきましょう。

重心型 放課後等デイサービスの事業所数は、年々増加しています。(コロナで影響で減少あり)

そして、重心型以外の放課後等デイサービスの事業所数は、14,402事業所なのに対し、重心型放課後等デイ

サービスの事業所数は、407事業所です。(2020年4月時点)

重心型 放課後等デイサービスの利用できるお子さんの定員は、定員5⼈の事業所多く、全体のが88%をを

占めています。

事業所運営の加算のお話しになりますが、看護職員加配加算というものがあります。医療の専門的知識や技術

やケアが必要となる福祉サービスになりますので事業所さんで、必要基準以上の看護職員などを配置した際に

算定される加算のことです。看護師さん、准看護師さん、保健師さん、助産師さんが該当してきます。

この、看護職員加配加算Ⅰは、300いかないほどの事業所さんが算定しているが、看護職員加配加算Ⅱ、Ⅲ

については、ごくわずかの事業所さんしか算定していません。

※看護職員加配加算をとりたい(準備中)

医療的ケア児の利用者の数は?

世の中には、日常的に医療的ケアを必要としている児童は何人いると思いますか?

現在は、全国で約2万人いると推計されており、東京都では医療的ケア時は約2000人と推計されていて、医療

的ケア児の数は、年々増加傾向にあるそうです。

 

<医療的ケアとは?>

児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける「医療的ケア」とは、医療的ケアスコア表に規定する14類型

の医療行為を指しています。(例:人工呼吸器の管理、機械切開の管理、鼻咽頭エアウェイの管理、酸素療法、

吸引、ネブライザーの管理、経管栄養・・・など)

医療的ケア児とは?

医療的ケア児を、法律の定義から見てみると以下の規定があります。

児童福祉法第4条第1項・・・・この法律で、児童とは、満18歳に満たないものをいう。

児童福祉法第4条第2項・・・・この法律で、障害児とは、身体に障害のある児童知的障害のある児童

児童福祉法第56条の6第2項・・・【地方公共団体相互の連絡及び調整等】

人口呼吸器を装着している障害児、その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、その心身

の状況に応じた適切な保健、医療福祉その他の各関連分野の支援を受けられるよう、保健医療福祉その他の関連

分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならな

い。という規定があります。

<行政的な医療的ケア児の概念をわかりやすく説明すると>

18歳未満の、身体と知的な障害をお持ちのお子さんで、人工呼吸器を装着していたり、その他日常生活を営むため

に医療を必要としている状態である。

※必ずコレといった明確な規定や定義があるわけではなく、医療的ケアを必要とするお子さん。と広い解釈も含む

とされています。

※スコア判定する時など、医療的ケア児、重症心身障害児、など用語が分かれていることにも注意しましょう。

医療的ケア児の重心型放デイの利用者の数は?

重心型の放課後等デイサービスでは、医療的ケア児の利用者数は、1か月の 実利⽤者数 事業所数

1事業所あたり 医ケア児数 (平均)

 

1ヶ月の実利用者数 事業者数 1事業所あたりの医ケア児数(平均)
10人以下 94  4.5
11⼈〜20人 92 7.3
21⼈〜30人 9 11.3

 重⼼型の事業所では、医療的ケア児の利⽤者5名以上の事業所のうち、看護師加配加 算を算定している事業

所は半数程度となっています。

 

第39回 報酬改定検討チームからみる令和6年度にむけて

それでは、重症心身障害児の取り巻く状況を、令和6年度に向けてどのような見当がされているのか、

令和5年10月18日に開かれた第39回障害福祉サービス等報酬改定検討チームの内容を見ていきましょう。

大きく指摘されている事項は3つあります。

① 重症心身障害児の報酬について

重症心身障害児を地域で支援する体制整備が課題となる中で、主として重症心身障害児を通わせる事業所

につ いて、地域のニーズに応じて、事業所の新規開設だけでなく、既存事業所の定員枠を増やすという選

択肢も想定 されるが、定員が1名増えるごとに報酬の減少幅が大きく、定員枠を増やすことが難しいとの

指摘がある。

② 重症心身障害児の入浴支援について

重症心身障害児などについて、常時見守りが必要であることや介助度が高いことから、主として重症心身障

害児を通わせる事業所では、発達支援に加え、入浴等の日常生活上の支援ニーズも大きいとの声がある。

入浴支援については、地域生活支援事業において、訪問入浴サービスが事業として設けられているが、任意

事業であり、実施状況は自治体によって異なる。

こどもの日常生活を支える観点や家族支援の観点から、児童発達支援や放課後等デイサービスにおいても、

発達支援とあわせて、事業所で入浴支援が提供されている実例もある。 

③ 重症心身障害児の送迎について

放課後等デイサービスにおいて、居宅と事業所との間の送迎を評価する送迎加算(54単位/ 回)について、

医療的ケア児については、看護職員を伴う手厚い体制で送迎した場合、さらに37単位を加算して 評価を行っ

ている。 また、主として重症心身障害児を通わせる事業所における送迎については、基本報酬に含めて評価

を行ってい るが、運転手に加えて職員を伴う手厚い体制で送迎した場合、さらに37単位を加算して評価を行

っている。 医療的ケア児や重症心身障害児の送迎については、医療濃度等、こどもの状態像により、看護職

員を複数配置 して送迎を行う必要がある場合もあり、現行の送迎加算では不十分との声もある。 

 

令和6年度にむけて検討の方向性です

看護職員・認定特定行為業務従事者による支援の検討

 医療的ケア児への支援の促進を図る観点から、認定特定行為業務従事者による支援についての評価の見直し

を検討してはどうか。

重症心身障害児の3つの指摘事項についての検討

① 報酬について

重症心身障害児への支援を促進する観点から、主として重症心身障害児を通わせる事業所についての評価の

見直しを検討してはどうか。

② 入浴支援

こどもの発達や日常生活、家族を支える観点から、医療的ケア児や重症心身障害児に、発達支援とあわせて

入浴支援を行った場合の評価を検討してはどうか。

③ 送迎支援

 医療的ケア児や重症心身障害児の送迎支援を促進する観点から、これらの児への送迎について、こどもの

医療濃度等も踏まえた評価を検討してはどうか。 

 

 

医療的ケア児の基本報酬の創設

従来は、障害児通所サービス(児童発達支援・放課後等デイサービス)の基本報酬において、医療的ケア児

を直接評価しておらず、一般児と同じ報酬単価であったた め、受入れの裾野が十分に広がってこなかった。

 今回改定においては、いわゆる「動ける医ケア児」にも対応した新たな判定スコア(右下欄★)を用い、医

療的ケア児を直接評価する基本報酬を新設。

基本報酬においては、医療濃度に応じ、「3:1(新スコア3点以上の児)」、「2:1(新スコア16点以上

の児)」又は「1:1(新スコア32点以上の児)」の 看護職員配置を想定し、当該配置を行った場合は必要な

額を手当て。

また、1事業所当たりごく少人数の医ケア児の場合(基本報酬では採算が取りづらい)であっても幅広い事業

所で受入れが進むよう「医療連携体制加算」の単価 を大幅に拡充。(※従来の看護職員加配加算を改組)

※ さらに、従来、NICU等から退院直後の乳児期は、自治体において障害児としての判定が難しいために障害福

祉サービスの支給決定が得られにくいという課題があること から、新たな判定スコアを用いた医師の判断を活用

することにより、新生児から円滑に障害福祉サービスの支給決定が得られるよう運用改善を行う。 

おわりに

今回は放課後等デイサービスには2種類があり、重症心身障害をお持ちのお子さんが通える福祉サービスの事業

所があることのご紹介でした。数は少ないのですが、専門的な職員さんによって支えられて、利用者さんが安心

して通える事業所さんがあります。

また、今後、令和6年度に向けて報酬改定や、医療的ケア児の基本的報酬も検討されています。

またスコア判定制度など、より制度が複雑化されることも考えられますので、わかりやすくお伝えできるように

次回の情報を、更新していきます。

 

 

参考:東京都福祉局 医療的ケア児とは

障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第39回(R5.10.18) 

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 こども家庭庁 支援局 障害児支援課

児童発達支援・放課後等デイサービスに係る報酬・基準 について≪論点等≫

この記事の監修者
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
 千葉直子アカウント