障害福祉サービス等報酬改定の令和6年度にむけて 前編

令和5年12月6日に開催された、障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について、わかりやすく

解説していきたいと思います。この検討チームは、令和5年5月から17回にわたって議論を行うとともに

49の関係団体からヒアリングを実施した上で、検討を積み重ねたそうです。

これまでの検討を踏まえ、令和6年度報酬改定に向けての基本的な方向性をまとめたいと思います。

まとめでも長くなりますので、今回は前編ということで解説していきます。

Ⅰ.障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり

(1)地域生活支援拠点等の整備の推進を含めた障害者の地域移行の促進

■本人の希望に応じたサービス利用に実効性を持たせるため 、 障害者支援施設の指定基準に 、

・地域移行及び施設外の日中サービス利用の意向確認を行う担当者を選任すること

・意向確認のマニュアルを作成していることを規定し、 義務化する 。

※令和6年度から努力義務化し 、令和8年度から義務化するとともに減算の対象とする 。

(2) GHにおける一人暮らし等の希望の実現支援の実態に応じた適切な評価

■日中支援加算、支援を提供した初日から評価を行うなどの 支援の実態に応じた 見直しを実施する

■共同生活援助事業者において、整備が義務付けられている会計に関する諸記録として、利用者から徴

収した食材料費等にかかる記録が含まれることや、食材料費等として徴収した額については適切に管理

すべき旨を改めて明示する。

■グループホームの支援に関するガイドラインの策定や、管理者、従業者等に対する資格要件や研修の導

入等を来年度以降検討する。

(3)障害の重度化や障害者の高齢化など、地域のニーズへの対応

①通院等介助等の対象要件の見直し
②熟練従業者による同行支援の見直し
③同行援護の特定事業所加算の加算要件の見直し
④訪問系サービスの国庫負担基準の見直し

(4) 地域で自立した生活を送るための機能訓練 ・ 生活訓練の充実

①社会生活の自立度評価指標 SIM の活用と報酬上の評価
②ピアサポートの専門性の評価
③支給決定の更新の弾力化
④自立訓練 機能訓練 における提供主体の拡充
⑤リハビリテーション職の配置基準
・高次脳機能障害等の後遺症により言語障害を有する者等の支援のため、生活介護及び自立訓練(機能訓練)の人員配置基準として、理学療法士と作業療法士の他に言語聴覚士を加える。
⑥高次脳機能障害を有する者への支援に対する評価

 

(5)相談支援の質の向上や提供体制を整備するための方策

(6)強度行動障害を有する障害者等への支援体制の充実

(7)障害者の意思決定支援を推進するための方策

障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築

(1)児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実

①障害特性に関わらず身近な地域で支援を受けられる体制の整備

■児童発達支援センターの基準・基本報酬を、福祉型・医療型の類型を一元化するとともに、福祉型に

おける3類型(障害児、難聴児、重症心身障害児)の区分も一元化する。

■一元化後の新たな基準・基本報酬は、現行の福祉型(障害児)を参考に設定するとともに、難聴児や

重症心身障害児について、現行の基準で求めている体制等も踏まえて、障害特性に応じた支援を行った

場合の評価を行う 。

②児童発達支援センターの機能・運営の強化

■専門人材を配置して地域の関係機関と連携した支援の取組を進めるなど、4つの機能を発揮して地域

の障害児支援の中核的役割を担うセンターについて、中核拠点型と位置付けて、体制や取組に応じて段

階的に評価を行う。

(2)質の高い発達支援の提供の推進

①総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等

■適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、支援において、5領域

を全て含めた総合的な支援を提供することを基本とし 、支援内容について、事業所の個別支援計画等にお

いて5領域とのつながりを明確化した上で提供することを求める。

 

5領域とは?

「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」をいいます。

 

■総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、事業所において、5領域とのつながりを明確化

した事業所全体の支援内容を示すプログラムの策定・公表を求めるとともに、未実施の場合の報酬の減算を設ける。

 

■児童指導員等加配加算について、 専門職による支援の評価は専門的支援加算により行うこととし、 経験

ある人材の活用・評価を推進する観点から、配置形態(常勤・非常勤等)や経験年数に応じた評価を行う。

 

■専門的支援加算及び特別支援加算について、専門人材の活用とニーズを踏まえた計画的な専門的支援の

実施を進める観点から、両加算を統合し、専門的な支援を提供する体制と、専門人材による個別・集中的

な支援の計画的な実施を2段階で評価する。

■基本報酬について、発達支援に対するきめ細かい評価とする観点から、極めて短時間の支援は算定対象

から原則除外するとともに、個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に応じた評価が可能となるよう、

支援時間による区分を設ける。

 

■自己評価・保護者評価について、運用の標準化と徹底を図る観点から、基準において実施方法を明確化する。

 

②関係機関との連携の強化

■関係機関連携加算(Ⅰ)について、対象となる関係機関に医療機関や児童相談所等を含めるとともに、

個別支援計画作成時以外に情報連携を行った場合の評価を 行う 。

(3)支援ニーズの高い児への支援の充実

①医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実
②強度行動障害を有する児への支援の充実
③ケアニーズの高い児への支援の充実
④継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実
⑤居宅訪問型児童発達支援の充実

(4)家族支援の充実

①家族への相談援助等の充実

■家庭連携加算(居宅への訪問による相談援助)、訪問支援を促進する観点から、評価の見直しを 行う。

■事業所内相談支援加算(事業所での相談援助)について、家族のニーズや状況に応じた支援の提供を

促進する 観点や 、オンラインによる相談援助を推進する観点から、評価の見直しを行う 。

■きょうだいへの支援も促進されるよう、家庭連携加算及び事業所内相談支援加算において、きょうだ

いも相談援助等の対象であることを明確化する。

■家族の障害特性への理解と養育力の向上につなげる観点から、家族が支援場面等を通じて、こどもの特

性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等を学ぶことができる機会を提供した場合の評価を行う。

■保育所等訪問支援及び居宅訪問型児童発達支援について、児童発達支援や放課後等デイサービスでの評価

も参考に、家族支援の評価の見直しを行う。

 

②預かりニーズへの対応

■児童発達支援・放課後等デイサービスの基本報酬の評価において、支援時間に応じた区分を設定すること

とあわせて、延長支援加算を見直し、一定の時間区分を超えた時間帯の支援について、預かりニーズに対応

した延長支援として評価を行う。

※延長時間帯の職員配置については、安全確保の観点から、2人以上の配置を求めるとともに、児童発達支

援管理責任者の対応も認めるなど、運用の見直しを行う 。

 

 

(5)インクルージョンの推進
(6)障害児入所施設における支援の充実
(7)障害児相談支援の適切な実施・質の向上や提供体制の整備

おわりに

今後のスケジュールの予定案として、

令和5年12 月: 令和 6 年度政府予算編成
令和6年2月:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(案)の取りまとめ
3月:関係告示の改正、通知等の発出
○月:改定後の障害福祉サービス等報酬の適用

が示されておりますので、また情報をまとめて、わかりやすくお伝えしたいと思います。

参考:令和5年12 月6日 障害福祉サービス等報酬改定検討チームより
この記事の監修者
障がい福祉事業をサポート
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
 千葉直子アカウント