障がい福祉事業所の消防安全対策をわかりやすく解説します

このページでは、障害福祉事業所の消防安全対策と火災予防対策について、消防法令をもとにわかりやすく

解説していきます。

このページを読むと、どのような施設が、どのような設備を必要とし、どのような消防安全対策を行ってい

けばいいのかわかるようになります。

    

平成27年4月1日に、消防法施行令および、消防法施行規則その他関係規定が改正されました。

社会福祉施設などの多様化や複雑化を踏まえ、平成25年2月の長崎市での高齢者グループホーム火災をなど

もあり、火災についの予防法策がすすめられました。

改正で用途区分の見直しがされました

主な改正で見直された区分は、下記の7つでした。

① 社会福祉施設等の用途区分の見直し

② スプリンクラー設備の設置基準の見直し

③ 自動火災報知設備の設置基準の見直し

④ 消防機関の検査を受けなければならない防火対象物等の見直し

⑤ 消防機関へ通報する火災報知設備等の基準の見直し

⑥ 特定小規模施設省令の見直し

⑦ 既存の防火対象物における経過措置

■その中から、用途区分の見直しについて、障害福祉サービスに関係のある、障害者と障害児の施設を見て

みましょう。

6項ロ(自力避難困難者入所福祉施設等) 6項ハ(老人福祉施設、児童養護施設等)
(4)障害児施設

・障害児入所施設

(4)障害児施設

・児童発達支援センター
・情緒障害児短期治療施設
・児童発達支援施設
・放課後等デイサービス施設

(5)障害者施設

・障害者支援施設※1
・短期入所を行う施設
・共同生活援助を行う施設※1

(5)障害者施設

・身体障害者福祉センター
・障害者支援施設※2
・地域活動支援センター
・就労移行支援施設
・就労継続支援施設
・共同生活援助を行う施設※2

※1 避難が困難な障害者を主として入所させるもの
※2 6項ロ(5)に掲げるものを除く

【避難することがむずかしい障害のお持ちの人を主として入所させる施設】 

★障害者総合支援法の障害支援区分が4~6の者が施設定員の概ね8割を超えること。

≪注意≫同じ用途の施設でも、入所者などの実態にて項目が分かれます。

(例)共同生活援助施設⇒定員10名⇒障害者支援区分4~6が9名⇒6項ロ

   共同生活援助施設⇒定員10名⇒⇒障害者支援区分4~6が6名⇒6項ハ

改正にかかわる主な消防用設備を見ていきましょう

その建物によって、該当するものが変わってきますので一覧表でご確認ください。

6項ロ  6項ハ
消火器 すべて設置 150㎡以上
自動火災報知設備 すべて設置 入居・宿泊あり すべて設置

入居・宿泊なし 300㎡以上

火災通報装置 すべて設置

(自動火災報知設備と連動)

500㎡以上
スプリンクラー設備 すべて設置

(一部施設は275㎡以上)

6000㎡以上
屋内消火栓設備 基準  700㎡以上

2倍・3倍 1000㎡以上

基準 700㎡以上

2倍 1400㎡以上

3倍 2100㎡以上

スプリンクラー設備の設置義務の免除について 

(6)項ロに該当する障害者施設等であっても、「火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として

総務省令で定める構造を有するもの」 または、「介助がなければ避難できない者と して総務省令で定め

る者を主として入所させるもの以外のものであって、 延べ面積275㎡未満のもの」については、スプリン

クラー設備の設置義務 が免除されることになります。

 

 

障がい福祉事業所の火災予防対策について

障がい福祉事業所の火災予防対策について、見ていきましょう。 

 

防火管理者の選任義務がある施設では、防火管理者選任届出書、消防計画作成届出書の届出が必要となります。

そして、防火管理者は、防火管理業務の推進の責任者として、防火管理に関する知識をもって、強い責任感と

実行力をかねそえた、管理的または、監督的な地位にある人でなければなりません。

防火管理者とは?

 防火管理者とは、どういった人でしょうか?

防火管理者とは、たくさんの人が利用する建物などの「火災等による被害」を防止するため、防火管理にか

かわる消防計画を作成して、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に、おこなっていく責任者の

人のことをいいます。

※消防法では、一定規模の防火対象物(*1)の管理権原者(*2)は、有資格者の中から防火管理者を選任

して、防火管理業務を行わせなければならないとされています。

※その地域の消防予防課に相談してみましょう。

建物や建物の一部をこれから使用しようとする人は、使用を始める7日前までに、防火対象物使用開始の届出

を消防署にするのもお忘れなくお願いいたします。(指定権者によっては必須提出書類の一つになってきます)

 

 

■防火管理者の選任が必要な施設

 6項ロ・・・収容人員10人以上

 6項ハ・・・収容人員30人以上

※障害者施設の収容人員は、従業員数と要保護者数の合計となります。

防火管理者は火災や避難において重要な人になります。

防火管理者は、その障がい福祉サービス事業所の防火管理業務をおこなうため、管理権原者から選任されます。

一定の資格を必要とし、防火管理者は管理権原者に指示を求めたり、従業員などに指示を与える必要もありま

すので、管理的・監督的地位にある人を選任する必要があります。

(管理権原者 が防火管理者になることもできます)。

防火管理者の業務とは?

防火管理上者の業務について見ていきましょう。

① 消防計画の作成と届出

② 消火、通報及び避難の訓練の実施

③ 消防用設備等の点検及び整備

④ 火気の使用又は取扱いに関する監督

⑤ 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理

⑥ 収容人員の管理

⑦ その他防火管理上必要な業務

おわりに

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備

及び運営に関する基準」(平成 18 年9月 29 日厚生労働省 令第 172 号)第 44 条等の障害者総合支援法等の

関係法令において、非常災害対策計画の作成と、避難訓練の実施について義務づけられていますが、障害者支

援施設などの非常災害対策とともに、避難訓練 の実施、そちらとともに、今回の消防計画の作成、消防火災

訓練など忘れずにおこなうようにしましょう。

 

 

 

参考:平成27年4月1日 消防法施行令改正

東京消防庁

この記事の監修者
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
 千葉直子アカウント