児童発達支援や放課後等デイサービスを利用する際、原則として必要になるのが「通所受給者証」です。
「障害者手帳とは違うの?」
「診断を受けていないと申請できない?」
「毎月何日まで利用できるの?」
このような疑問を持つ保護者の方も少なくありません。
今回は、障害児通所支援の受給者証について、記載されている内容、申請から利用開始までの流れ、利用者負担、更新時の注意点を分かりやすく解説します。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。申請方法や必要書類は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。

障害児通所支援の受給者証とは?
障害児通所支援の受給者証は、正式には「通所受給者証」と呼ばれます。
児童発達支援や放課後等デイサービスなどを利用するために、市区町村が行った「通所給付決定」の内容を証明する書類です。
受給者証は、原則として障害児の保護者が住んでいる市区町村から、保護者に対して交付されます。
通所給付決定とは、保護者から申請された障害児通所支援について、公費による給付の対象とするか、どのサービスを月に何日利用できるようにするかなどを市区町村が決定するものです。
なお、通所給付決定は、特定の事業所を利用するよう市区町村が指定するものではありません。受給者証の交付後、保護者が利用する事業所を選び、その事業所と契約を結びます。
受給者証と障害者手帳は別のものです
受給者証は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの「障害者手帳」とは異なります。
障害者手帳は、障害の種類や程度などを証明するものです。一方、通所受給者証は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどについて、公費による給付を受けられることを証明するものです。
そのため、障害者手帳を持っているだけでは、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用できるわけではありません。別途、市区町村への申請と通所給付決定が必要です。
反対に、障害者手帳を持っていない場合や、確定した診断名がない場合でも、療育や発達支援の必要性が認められれば、通所給付決定の対象になることがあります。
こども家庭庁の事務処理要領でも、医学的診断名や障害者手帳を持っていることは、通所給付決定の必須要件ではないとされています。
受給者証で利用できる障害児通所支援
現在、通所給付決定の対象となる主な障害児通所支援は、次の4種類です。
児童発達支援
主に未就学のこどもに対して、日常生活に必要な動作、知識や技能、集団生活への適応などに関する支援を行います。
放課後等デイサービス
学校に通っているこどもに対して、授業終了後や学校休業日に、生活能力の向上や社会との交流に必要な支援を行います。
居宅訪問型児童発達支援
重度の障害や疾病などにより外出が著しく困難なこどもの自宅を訪問して、発達支援を行います。
保育所等訪問支援
保育所、幼稚園、認定こども園、学校などを訪問し、集団生活への適応に必要な専門的支援を行います。
受給者証には何が書かれている?
受給者証には、主に次のような情報が記載されています。
・受給者証番号
・保護者の氏名や住所
・利用する児童の氏名や生年月日
・通所給付決定を行った市区町村
・利用できる障害児通所支援の種類
・支給量
・通所給付決定の有効期間
・利用者負担上限月額
・障害児相談支援に関する情報
・利用者負担上限額管理事業所
・事業者が契約内容を記載する欄
・特記事項
特に確認したいのが「支給量」と「有効期間」です。
支給量には、一般的に「月○日」のように、1か月に利用できる上限日数が記載されます。
たとえば「月10日」と記載されている場合、原則として、その月に給付対象として利用できるのは10日までです。複数の事業所を利用している場合は、それぞれの事業所の利用日数を合計して支給量を管理します。
受給者証が交付されたら、サービスの種類、支給量、有効期間、負担上限月額などに誤りがないか確認しましょう。

受給者証を取得できる対象児童
児童福祉法上、障害児通所支援の対象となるのは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害のある児童や、一定の難病のある児童です。
ただし、受給者証を取得するために、必ず障害者手帳や診断書が必要になるとは限りません。
市区町村は、次のような資料や情報をもとに、支援の必要性を確認します。
・障害者手帳
・特別児童扶養手当などの受給を証明する書類
・医師の診断書や意見書
・児童相談所や保健センターの意見
・乳幼児健診や発達相談の記録
・こどもの発達状況や家庭環境に関する聞き取り
診断名が確定していない場合でも、発達の遅れや特性が想定され、支援の必要性が認められれば、給付対象になることがあります。
ただし、実際にどの書類が必要になるかは自治体によって異なります。
受給者証を取得するまでの流れ
一般的な申請から利用開始までの流れは、次のとおりです。
1.市区町村の窓口へ相談する
まずは、保護者が住んでいる市区町村の障害福祉担当課や、こどもの発達支援を担当する窓口に相談します。
千葉市の場合は、各区保健福祉センターの高齢障害支援課が、障害児通所支援の申請窓口です。
2.利用したい事業所を探す
児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所を見学し、空き状況、支援内容、送迎の有無などを確認します。
事業所探しと受給者証の申請は、並行して進めることもあります。
3.市区町村へ支給申請を行う
保護者が、障害児通所給付費支給申請書などを市区町村へ提出します。
必要書類は自治体や児童の状況によって異なりますが、世帯や所得に関する書類、医師の意見書、発達相談の記録などを求められることがあります。
4.障害児支援利用計画案を作成する
原則として、指定障害児相談支援事業所に依頼し、「障害児支援利用計画案」を作成してもらいます。
地域の相談支援事業所が見つからない場合などには、保護者が作成する「セルフプラン」が認められることもあります。ただし、居宅訪問型児童発達支援では、指定障害児相談支援事業所が作成した計画案が必要です。
5.市区町村の調査を受ける
市区町村の担当者が、こどもの心身の状況、家庭環境、現在受けている支援、保護者の希望などを確認します。
現在は、支給の要否や支給量を検討する際に「5領域20項目」の調査が行われます。
6.支給決定・受給者証の交付
市区町村が申請内容、調査結果、障害児支援利用計画案などを確認し、支給の可否、サービスの種類、支給量、有効期間を決定します。
支給決定後、保護者に通所受給者証が交付されます。
7.事業所と契約して利用を開始する
受給者証を利用予定の事業所へ提示し、利用契約を締結します。
その後、事業所が作成する個別支援計画に基づいて、児童発達支援や放課後等デイサービスの利用が始まります。

利用者負担は原則1割
障害児通所支援の利用者負担は、原則としてサービス費用の1割です。残りの9割は公費から給付されます。
ただし、所得に応じて、1か月に支払う利用者負担の上限額が設定されています。
| 所得区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯で所得割28万円未満 | 4,600円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
一般1の対象は、世帯収入がおおむね890万円以下とされていますが、実際の区分は市町村民税の所得割額などにより市区町村が判定します。
なお、おやつ代、食費、教材費、行事費などの実費は、負担上限月額とは別に支払いが必要になることがあります。
就学前の児童発達支援等は無償化の対象です
満3歳になった後の最初の4月1日から、小学校へ入学するまでの3年間は、児童発達支援などの利用者負担が無償化されます。
無償化の対象となる主なサービスは、児童発達支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援です。
無償化にあたり、原則として新たな手続きは必要ありません。
ただし、医療費、食費、おやつ代など、もともと実費負担となっている費用は無償化の対象外です。
複数の事業所を利用する場合
複数の児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所を利用することもできます。
ただし、すべての事業所の利用日数を合計して、受給者証に記載された支給量を超えないようにする必要があります。
また、複数の事業所を利用し、利用者負担額の合計が負担上限月額を超える可能性がある場合には、「利用者負担上限額管理」が行われます。
この場合、いずれかの事業所が上限額管理事業所となり、他の事業所と利用者負担額を調整します。上限額管理事業所は、受給者証にも記載されます。
受給者証には有効期間があります
通所受給者証は、一度取得すればずっと利用できるものではありません。
受給者証には通所給付決定の有効期間が記載されており、利用を継続する場合は、有効期間が終了する前に更新手続きを行う必要があります。
また、住所、氏名、世帯状況、所得状況などが変わった場合や、利用日数を増やしたい場合には、変更届や支給量変更の申請が必要になることがあります。
紛失や破損をした場合は、市区町村へ再交付を申請できます。
自治体から更新の案内が届いたら、提出期限を確認し、早めに手続きを進めましょう。

まとめ
障害児通所支援の受給者証は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどを公費負担で利用するための大切な書類です。
障害者手帳とは異なり、診断名や手帳がなくても、発達支援や療育の必要性が認められれば対象となることがあります。
受給者証が交付されたら、利用できるサービスの種類、支給量、有効期間、負担上限月額、特記事項を確認しましょう。
また、申請方法や必要書類、審査にかかる期間は自治体によって異なります。利用を希望する場合は、お住まいの市区町村や障害児相談支援事業所、利用を検討している通所支援事業所へ早めに相談することが大切です。
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