障害福祉サービス事業の電磁的記録とは?
世の中は、AIやChatGPTなどの話題で持ちきりですが、障害福祉サービス事業においても、令和3年7月1日
施行の基準省令の改正により、利用者さんの利便性の向上や、事業者さんの業務負担を軽くする狙いから
事業者さんなどにおける、記録の作成や保存、利用者さんへの説明や同意などのうち、書面で行うものに
ついては、原則として、電磁的記録による対応が可能になりました。
今まで、アナログの対応で行ってきたものが、ようやく基準省令などが改正されて、時代に追いついてき
ました。今回は電磁的記録について、何を電磁的記録で作成できるか解説したいと思います。
電磁的記録 改正は大きく2つのポイント
1.記録の作成や保存について、原則として電磁的記録による対応が可能
2.利用者さんへの説明や同意のうち、書面で行うものについて、原則と
して電磁的方法にある対応が可能
■電磁的記録とは、パソコンや、スマートフォン、タブレットなどで閲覧が可能なデータ(PDF・Word・Excel
など)のこと
■電磁的記録による保存とは、
(1)ネットワークに接続されている状態のパソコン、スマートフォン、タブレットなどを使って作成された
電磁的記録を保存する方法
(2)作成された電磁的記録をフロッピーディスク、ミニディスク、CD-ROMなどに保存する方法
ここで注意する点!2つあります!
■電磁的記録による作成と保存ができないものがあります!
利用者さんへの説明同意のうち、電磁的方法で交付可能のものとは?
電磁的方法による交付にあたっては、下記の①から④の方法である必要があります。
①事業者さんやその従業員さんは、利用申込者からの申し出があった場合には、重要事項を記した文書
(運営規定、従業者の勤務体制など)の紙の交付に変えて、その利用申し込み者の承諾を得て、電磁的
方法(電子メールなど)による提供ができます。
② ①の方法で行う場合、利用申し込み者がファイルへの記録を出力することによる文章を作成するこ
とができるものでなければならない。
③あらかじめその利用申し込み者に対し、その用いる電磁的方法の種類内容を示し、文書または電磁的
方法による承諾を得なければならない。
④その利用申込者から、アナログがいいよと言われた場合は、アナログで対応してください。
※電磁的方法による締結とは・・・当該締結の相手方と事業者等の間の契約関係を明確にする観点から、
書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましいです。
交付の方法をまとめると、3つです
①電子メールなどで、相手の電子媒体に、電磁的記録で送信する
②事業者さんがホームページなどに、電磁的記録を掲載して、利用者さんやそのご家族がダウンロード
できる状態にしておく
③電磁的記録を作成した磁気ディスク、CD-ROMなどを交付する
事前の承諾が想定されるケースとは?
- 重要事項説明書の交付
- 個別支援計画への同意や交付
- 個人情報利用同意書への同意
- サービスの提供の記録(実績記録票を含む)への確認 など
おわりに
令和3年7月1日より、電磁的方法が大きく認められるようになりました。
ただ従来通りで、電磁的記録による作成保存は認められていないものや、電磁的方法の細かな縛りが
ありますので、運用に不安がある時は、指定権者さんに確認をするようにしましょう。
電磁的方法が可能になっただけであって、説明義務などがあるものはそのままですのでそちらにも
注意をしましょう。
参考:厚生労働省
【個人情報保護委員会】個人情報に関する法令・ガイドライン
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/
千葉 直子
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー