計画相談支援、障害児相談支援にかかわる報酬基準の論点

   令和5年10月30日、障害福祉サービス等報酬改定検討チームにより計画相談支援、障害児相談支援

   について検討された内容をわかりやすくご紹介いたします。

  第41回では、令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けて

  ・計画相談支援

  ・障害児相談支援

  ・横断的事項

  ・施設入所支援2

  について検討議論されました。

  このページでは、計画相談支援・障害児相談支援についてまとめていきたいと思います。

計画相談支援、障害児相談支援とは?

まずは、なにか障がい福祉サービスのことや、その関係のことで相談などがあれば、お近くの相談事業所や

お子さんのことであれば、児童相談所に相談することになります。市町村の相談窓口にいくと、案内をしても

らえます。また、相談は、ご本人のみならず、そのご家族、親族、地域住民、関係機関などからの相談も受け

付けています。

障がい福祉サービスを利用する場合は、特定相談支援事業所や、障害児相談支援事業所に相談することが多い

です。

誰が相談できるの?

対象となる人は、障がい福祉サービスの申請や変更など、障がいをお持ちの人や、お子さんの保護者、

地域相談支援の申請や、変更もこちらで受け付けています。 平成27年度からは、障がい福祉サービス

を利用するすべての人が対象となりました。

法律的な観点からみますと、

・障害者自立支援法の計画相談支援を受けたい人であって、市町村がサービスの利用計画案の提出を

求めた人。※介護保険制度のサービスを利用する場合については、障害福祉サービス固有の行動援護、

同行援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等の場合で、市町村が必要と認める

場合になります。

・児童福祉法の障害児相談支援を受けたい人であって、市町村が障害児支援利用計画案の提出を求め

た人になります。

なにを相談できるの?

障害福祉サービスを利用開始する場合、相談所にいる相談支援専門員さんに相談をします。

そしてまず、アセスメント、支援プランを作成して、サービスが利用開始となります。その後は

モニタリングを通して、定期的にその状況の確認や、プランなどの見直しをしていきます。

面談や同行しながら働きかけをおこない、ご本人の希望する日常生活を継続するために必要な支

援を直接、おこなうこともあります。

 

計画相談支援と障害児相談支援の現状

【計画相談支援】の令和4年度の費用額は約425億円で、障害福祉サービス等全体の総費用額の1.6%を占めて

おり、費用額、利用者数、事業所数について、毎年増加しています。1事業所あたりの、利用者さんも増え

ています。

R2:22.0人、R3:22.8人、 R4:23.1人

【障害児相談支援】の令和4年度の費用額は約171億円で、障害福祉サービス等全体の総費用額の0.6%を占めて

おり障害児支援全体の総費用額の2.5%になります。こちらも、費用額、利用者数、事業所数について、毎年増加

しています。1事業所あたりの利用者さんについても増加しています。

R2:12.1人、R3:12.9人、 R4:13.4人

 

令和6年度に向けての論点は大きく3つ

論点1:質の高い相談支援を提供するための充実と強化

論点2:医療などの多様なニーズへの対応

論点3:相談支援人材の確保と ICTの活用

検討の方向性 1.質の高い相談支援を提供するための充実と強化

<質の高い相談支援の提供のための基本報酬の見直し>

・一定の人員体制や、質を確保する事業所向けの機能強化型の基本報酬の見直しの検討

・ 具体的には、地域の相談支援体制強化の取組として、障害者総合支援法に規定する協議会の構成員として

定期的に参画することや基、幹相談支援センターの取組に協力した場合の評価についての検討

・ 複数事業所が協働で体制を確保することにより機能強化型の基本報酬が算定できる場合の要件について、

現行の地域生活支援拠点等に位置づけられている相談支援事業所である場合に加えて、地域生活支援拠点等

と連携し、かつ、協議会の構成員となっている相談支援事業所を対象に加えることの検討

・モニタリング期間、地域移行に向けた意思決定支援の推進やライフステージの変化が著しい児童期の特性

の観点から、現在、モニタリング期間を標準より短い期間で設定することが望ましい場合として、新たに以

下を追加することを検討してはどうか。

・障害者支援施設又はグループホームを利用している者で、地域移行や一人暮らし等に係る意思が明確化す
る前の段階にあって、居住の場の選択について丁寧な意思決定支援を行う必要がある者

・重度の障害を有する等により、意思決定支援のために頻回な関わりが必要となる者

・進学や就労をはじめとしたライフステージの移行期にある障害児や、複数の事業所を利用する等により発

達支援や家族支援に係る連絡調整等が頻回に必要な障害児

・指定基準で、各サービスの個別支援計画について、相談支援事業所への情報提供を義務化することの検討

 

 

検討の方向性 2.医療などの多様なニーズへの対応

<医療等の多機関連携のための加算の見直し>

・医療等の多機関連携のための各種加算について、評価する観点から、加算の対象となる場面や業務、

算定回数などの評価の見直しの検討

・具体的に、「医療・保育・教育機関等連携加算」について、モニタリング時においても評価することを

検討してはどうか。
・ 「医療・保育・教育機関等連携加算」及び「集中支援加算」について、利用者の通院への同行や関係機

関等からの求めに応じて障害者等の状況を情報提供する場合も加算の対象とすることや、連携の対象に訪問

看護の事業所を加えることや、算定回数などの評価の見直しを検討してはどうか。

・ 上記以外の関係機関への訪問や情報提供等を評価する各種加算の検討

 

<医療との連携のための仕組み>

・支給決定に際して市町村に提出された医師意見書について、本人の同意を得た上で、相談支援事業所がサー

ビス等利用計画案・障害児支援利用計画案の作成に活用できる旨、周知することの検討。

※ 令和5年度障害者総合福祉推進事業において、医療と福祉の連携ツールとして情報提供の際活用できる様

式を策定するとともに、地域における医療と福祉の連携の取組の好事例把握を実施しており、今後、自治体

や相談支援事業者に成果物について周知予定。(高い専門性が求められる者の支援体制)

・ 「要医療児者支援体制加算」等について、実際に医療的ケアを必要とする障害児者等に対して相談支援を

行っている事業所について、それ以外の事業所と差を設け、メリハリのある評価の検討

 

 

検討の方向性 3.相談支援人材の確保と ICTの活用

<相談支援に従事する人材の確保>
・機能強化型の基本報酬を算定している事業所であって、かつ、主任相談支援専門員の指導助言を受ける体

制が確保されている場合には、常勤専従の社会福祉士又は精神保健福祉士である者を新たに「相談支援員

(仮称)」として、サービス等利用計画・障害児支援利用計画の原案の作成及びモニタリングの業務を行う

ことができるよう指定基準を見直しの検討

<ICTの活用等>
・ICTの活用による業務の効率化を図るため、以下の加算の要件である利用者への居宅訪問の一部について、

オンラインによる面談の場合も算定可能とすることを検討してはどうか。(ただし、月1回は対面による訪

問を要件とする)

・初回加算(契約の締結から4か月目以降に月2回以上訪問した場合)

・集中支援加算(計画作成月・モニタリング月以外において、月2回以上居宅訪問した場合)

 

・離島や過疎地など特別地域加算の算定対象となる地域においては、ICTの活用等により、都道府県及び市

町村が認める場合は、要検討。

・居宅訪問を要件とするサービス等利用計画の作成やモニタリングについて、一部オンラインで対応可能?

・居宅訪問や事業所訪問を要件とする各種加算の見直し

・従たる事業所(サテライト)について、主たる事業所から30分で移動可能な範囲を超える場合であっても

設置を可能とする

・機能強化型の基本報酬の算定に係る複数事業所による協働体制について、複数の事業所間が通常の相談支

援の実施地域を越える場合も算定可能とする

 

おわりに

以上が令和5年10月30日現在検討されている内容になります。

ではまた、まとめて整理してお伝えしたいと思います。

 

 

参考:第41回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料より

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部
こども家庭庁 支援局 障害児支援課

 

この記事の監修者
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
 千葉直子アカウント