保育所等訪問支援とは?

保育所等訪問支援の最大の目的は、保育所等訪問支援を通して、保護者と訪問先の距離が縮まり、子どもの成長・発達を共に喜び合えるようになることで、最終的には子どもが安心・安全に 過ごせる環境になり、保育や教育の効果を最大限に引き出すことにつながると期待できます。

常に子どもの視点に立ち、 子どもにとってどのような保育所等訪問支援が用意されなければならないか、児童福祉法の理念に則り、子どもにとって最善の利益を考慮します。

 

 

 

 

保育所等訪問支援の基本的役割

保育所等訪問支援は、児童福祉法の定義にもあるように保育所や幼稚園、認定こども 園、学校、放課後児童クラブなど集団生活を営む施設を訪問し、障害のない子どもとの集団生活への適応のために専門的な支援を行うものです。

集団生活への適応のための専門的な支援とは、対象となる子どもを集団生活に合わせるのでは なく、子どもの特性等に集団生活の環境や活動の手順等を合わせていくことです。それには、保育所等での環境(他の子どもを含む集団の環境を含む)や、そこで行われている教育、活動本人の特性との両方を適切にアセスメントすることが求められ、その力が専門性ということになります。

 

保育所等訪問支援って何?まずは知ろう

●どのような人が利用するのでしょうか?【申請者と対象児】

保育所等訪問支援の対象となる子どもは、児童福祉法第 4 条第 2 項に定める「障害児」であり、 ①保育所等の施設に通い、②集団での生活や適応に専門的支援が必要である子どもです。 なお、「障害児」の認定にあたっては医学的診断や障害者手帳の有無は問いません。

必ずしも申請時に集団不適応を起こしていなければいけないことはなく、特性等に応じた配慮がなければ不適応を起こす可能性のある子どもも対象です。また、児童発達支援や放課後等デイサービスの通所支援を現在利用している子ども(いわゆる「並行通園児」)だけでなく、過去に通所支援を利用していた子どもや、通所支援を利用したことのない子どもも対象になります。

申請者は保護者です。保育所等訪問支援を利用するには、保護者が保育所等訪問支援にかかる給付費支給申請を市町村に行う必要があります。つまり保護者が必要性を感じていることが、この支援を利用するための条件の一つとなります。

子どもが通っている保育所等の施設から申請を行うことはできないため、留意が必要です。ただし、施設が支援の必要性を感じられた場合には、保護者と相談の上、利用を提案することも考えられます。

また、保育所等訪問支援は保護者の申請に基づき開始されますが、子ども本人に訪問支援に対する意向を確認することが重要です。 保護者の意向や、訪問支援がなぜ必要なのかを十分に説明し、訪問支援が提供できるようすり合わせを行う必要があります。

 

●どこで行うのでしょうか?【訪問支援の場所】 

保育所等訪問支援の訪問先は、児童福祉法で「保育所その他の児童が集団生活を営む施設として厚生労働省令で定めるもの」と定義されています。それは、保育所や幼稚園、認定こども園、小学校、特別支援学校、その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設です。

なお、平成30年4月からは「乳児院その他の児童が集団を営む施設として厚生労働省令で定めるもの」が追加されており、乳児院や児童養護施設も訪問支援を提供できることになっています。

●どのような支援をするのでしょうか?【支援内容】
子どもへの「直接支援」と、スタッフへの「間接支援」を行うサービスです。
保育所等訪問支援は、障害児通所支援の一類型である以上、子どもに対して直接、発達支援を行うことが要件となります。
集団から抜き出して固有の発達課題について支援する場合もありますが、一般的には訪問先での生活の流れや保育・教育活動の妨げにならないよう十分に配慮しながら集団活動に加わって支援することになります。保育園等での生活のしづらさや集団不適応に対しては、その要因を本人の特性と環境面から推察し、本人に働きかけるだけではなく、環境整備を行ったり、スタッフに関わり方や活動の組み立てなどを教示したりします。また、周囲の子どもたちを巻き込んでの支援を行うこともあります。
保育所等訪問支援では、スタッフへの支援が何よりも大切になります。スタッフの方々の子どもへの理解を促し、発達的視点を持って子どもに関わっていただくことで、子どもはとても安心して保育所等での生活を楽しむことができます(子どもを中心に捉えるので「間接支援」と言われています)。
具体的に・・・
訪問支援員は、まず、保育士等に普段どのように子どもを見て、考え、どうかかわっているのか、困っていることはないかなどを丁寧に伺っていきます。そして、子どもとの関わりで良かった点をしっかり伝えることが重要になります。その上で、訪問支援員が子どもに対してどのような意図を持って直接支援をしたのか、今後子どもと関わる上でのポイントをお伝えします。スッタフへの指導というよりも、訪問支援員がいない場面でどのように子どもを見るのか、その上で子どもにとって最善の環境設定や関わり方はどのようにしたら良いのかをスタッフ自身や訪問先機関が自律的に考えていけるよう協働支援、後方支援の立場で関わることも重要になります。
●訪問支援の頻度や時間、期間はどのくらい?【実施形態】
訪問頻度や支援時間に関する規定はありませんが、
・概ね2週間に1回程度の訪問支援
・子どもへの直接支援は1〜2時間程度、スタッフへの間接支援は1時間程度
・半年及び1年後のモニタリング時に継続の有無について検討すること
が想定されています。
保育所等訪問支援は、あくまでも訪問先の活動の流れに沿って行われるものであり、訪問先と十分に調整した上で実施していく必要があります。
その上で、保護者が訪問先機関を信頼し、安心して子どもを任せることができるようになれば訪問間隔の延長または終了を検討します。
また、訪問先機関も子どもの障害・特性を理解し、適した環境や活動を設定でき、安心して楽しみながら子どもと関われるようになれば、そして、保護者の心情を理解し緊密な連携を取ることができるようになれば、目標の達成となります。

 

この記事の監修者
あいまり行政書士オフィス 代表・行政書士
千葉 直子
2021 年 8 月 許認可専門の「とおる行政書士オフィス」 設立
2023 年 3 月 障がい福祉専門の「あいまり行政書士オフィス」 へ事務所名を変更
専門分野:障害福祉
高校・大学とボランティア部に所属
福祉系大学を卒業
【セミナー実績】
障害福祉行政書士のための法令と事例解説
行政書士向けコミュニティでのセミナー
 千葉直子アカウント