相談支援事業所の開業を検討されている方から、よくいただくご質問があります。

「計画相談と特定相談支援は同じものですか?」
「特定相談支援と障害児相談支援は、何が違うのでしょうか?」

「計画相談」「特定相談支援」「障害児相談支援」は、似た場面で使われるため、初めて相談支援事業に関わる方にとっては、少し分かりにくい言葉です。

簡単に整理すると、障害福祉サービスを利用する方に対する計画作成やモニタリングは「計画相談支援」、障害児通所支援を利用するこどもに対する計画作成やモニタリングは「障害児相談支援」と呼ばれます。

そして、計画相談支援を行う事業者が「指定特定相談支援事業者」です。

この記事では、計画相談、特定相談支援、障害児相談支援の関係や、それぞれの対象となるサービスについて分かりやすく解説します。

計画相談とは?

「計画相談」という言葉は、一般的には、障害福祉サービスなどを利用する方について利用計画を作成し、サービス利用後の状況を確認する相談支援を指して使われています。

ただし、制度上の正式な名称は「計画相談支援」です。

障害者総合支援法における計画相談支援には、次の2つがあります。

・サービス利用支援
・継続サービス利用支援

サービス利用支援では、障害福祉サービスの支給決定前に、本人の希望や生活上の課題を確認し、「サービス等利用計画案」を作成します。

市町村による支給決定後は、サービス事業所などとの調整を行い、正式な「サービス等利用計画」を作成します。

継続サービス利用支援では、サービスの利用開始後に、計画どおりに支援が行われているか、本人の生活状況に変化がないかなどを確認します。

この確認が、一般的に「モニタリング」と呼ばれるものです。

必要がある場合には、サービス等利用計画の変更や、関係する事業所との連絡調整も行います。

厚生労働省の手引きでは、障害者総合支援法上の「特定相談支援事業」は、基本相談支援と計画相談支援を併せて実施する事業と整理されています。つまり、特定相談支援事業所が、利用者に対して計画相談支援を提供するという関係です。

「計画相談」と「特定相談支援」は何が違う?

「計画相談」と「特定相談支援」は、まったく別の制度というわけではありません。

正確には、次のように整理できます。

・計画相談支援
 利用者に提供する支援の名称

・特定相談支援事業
 基本相談支援と計画相談支援を行う事業の名称

・指定特定相談支援事業所
 市町村から指定を受け、計画相談支援を提供する事業所

例えば、生活介護や就労継続支援B型、グループホームを利用する方について、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員がサービス等利用計画を作成します。

このとき、事業所が行っている事業は「特定相談支援」であり、利用者に提供している支援は「計画相談支援」です。

実務上は、指定特定相談支援事業所のことを「計画相談の事業所」と呼んだり、計画作成やモニタリング全体をまとめて「計画相談」と呼んだりすることがあります。

そのため、会話の中で「計画相談」という言葉が出てきた場合は、事業所を指しているのか、利用者に提供する支援を指しているのかを確認すると分かりやすくなります。

相談支援事業所とは?

相談支援事業所は、障害のある方や障害のあるこども、そのご家族から相談を受け、必要な福祉サービスの利用につなげる事業所です。

本人や家族の希望、生活状況、困っていることなどを確認し、利用するサービスの組み合わせや支援の方向性を計画としてまとめます。

計画を作成した後も、定期的に本人や家族と面談し、サービスの利用状況や生活の変化を確認します。

相談支援は、単に書類を作る仕事ではありません。

本人や家族、行政、医療機関、学校、障害福祉サービス事業所などをつなぎ、本人を中心とした支援体制をつくる重要な役割を担っています。

厚生労働省も、障害福祉サービスなどの利用計画の作成について、「計画相談支援」と「障害児相談支援」に分けて案内しています。

特定相談支援とは?

特定相談支援は、障害者総合支援法に基づく相談支援事業です。

指定特定相談支援事業所は、基本相談支援に加えて、障害福祉サービスなどを利用する方に対する計画相談支援を行います。

対象となる主なサービスには、次のようなものがあります。

・居宅介護
・重度訪問介護
・同行援護
・行動援護
・生活介護
・自立訓練
・就労移行支援
・就労継続支援A型・B型
・共同生活援助(グループホーム)
・短期入所
・自立生活援助

例えば、就労継続支援B型とグループホームを利用する方について、本人の生活状況や希望を確認し、サービス等利用計画を作成します。

その後、サービス担当者会議を開催し、各事業所と支援方針を共有します。

サービスの利用開始後は、市町村が定めた期間ごとにモニタリングを行い、必要に応じて計画の見直しや関係事業所との連絡調整を行います。

障害児相談支援とは?

障害児相談支援は、児童福祉法に基づく障害児通所支援を利用するこどもについて、相談支援を行う事業です。

障害児相談支援には、次の2つの支援があります。

・障害児支援利用援助
・継続障害児支援利用援助

障害児支援利用援助では、こどもや保護者の希望、家庭や学校などでの生活状況を確認し、「障害児支援利用計画案」を作成します。

支給決定後は、関係する事業所などとの調整を行い、「障害児支援利用計画」を作成します。

継続障害児支援利用援助では、支給決定後のサービス利用状況を確認し、必要に応じて計画の見直しや関係機関との調整を行います。

児童福祉法上も、障害児相談支援は、障害児支援利用援助と継続障害児支援利用援助を行うものと定められています。

対象となる主なサービスは、次のとおりです。

・児童発達支援
・放課後等デイサービス
・保育所等訪問支援
・居宅訪問型児童発達支援

例えば、児童発達支援と保育所等訪問支援を利用するこどもについて、こども本人や保護者の希望、家庭での様子、保育園や幼稚園での状況などを確認します。

そのうえで、必要な支援や今後の方向性を障害児支援利用計画にまとめます。

障害児相談支援では、保護者の希望を聞くだけでなく、こども本人の意思、心身の状況、発達段階、生活環境なども踏まえて計画を作成することが重要です。

 

計画相談支援と障害児相談支援の違い

計画相談支援と障害児相談支援の大きな違いは、対象となるサービスと根拠となる法律です。

計画相談支援

障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスなどを利用する方が対象です。

指定特定相談支援事業所が「サービス等利用計画」を作成し、モニタリングを行います。

障害児相談支援

児童福祉法に基づく障害児通所支援を利用するこどもが対象です。

指定障害児相談支援事業所が「障害児支援利用計画」を作成し、モニタリングを行います。

整理すると、次のようになります。

区分 計画相談支援 障害児相談支援
主な根拠法 障害者総合支援法 児童福祉法
事業者 指定特定相談支援事業者 指定障害児相談支援事業者
作成する計画 サービス等利用計画 障害児支援利用計画
主な対象 障害福祉サービスなどの利用者 障害児通所支援を利用するこども
利用後の支援 継続サービス利用支援 継続障害児支援利用援助

「計画相談は成人、障害児相談はこども」とは限りません

ここで注意したいのが、年齢だけで計画相談支援と障害児相談支援を分けるわけではないという点です。

「計画相談支援は成人向けで、障害児相談支援は18歳未満向け」と考えられがちですが、正確には、利用するサービスの種類によって判断します。

障害のあるこどもが、居宅介護や短期入所など、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用する場合には、計画相談支援の対象になります。

一方、児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援など、児童福祉法に基づく障害児通所支援を利用する場合には、障害児相談支援の対象になります。

こどもが障害福祉サービスと障害児通所支援の両方を利用するケースもあるため、「成人かこどもか」だけではなく、「どの法律に基づくサービスを利用するのか」を確認することが大切です。

特定相談支援と障害児相談支援の両方の指定を受けられる?

一つの相談支援事業所が、特定相談支援と障害児相談支援の両方の指定を受けることも可能です。

例えば、放課後等デイサービスを利用している時期から相談支援を行い、成人後も就労継続支援やグループホームなどの利用について継続して支援したい場合には、両方の指定を受けることが考えられます。

ただし、特定相談支援と障害児相談支援は、それぞれ根拠となる法律や指定の種類が異なります。

片方の指定を受ければ、自動的にもう片方の事業も行えるわけではありません。

特定相談支援と障害児相談支援の両方を行う場合は、それぞれについて指定申請を行い、各事業に対応した運営規程、重要事項説明書、利用契約書などを整備する必要があります。

開業前に対象者を明確にしましょう

相談支援事業所を開業するときは、どのような利用者を支援したいのかを明確にすることが大切です。

成人の障害福祉サービス利用者を中心に支援する場合は、特定相談支援の指定が必要です。

児童発達支援や放課後等デイサービスなどを利用するこどもを中心に支援する場合は、障害児相談支援の指定が必要です。

こどもから成人まで継続して支援したい場合や、障害福祉サービスと障害児通所支援の両方に対応したい場合は、両方の指定を検討します。

また、地域によって、相談支援事業所の数や不足している支援分野、指定申請の方法などが異なります。

法人設立や職員採用、物件契約を進める前に、開業予定地域の市町村へ相談し、必要な指定や申請手続を確認することをおすすめします。

まとめ

「計画相談」「特定相談支援」「障害児相談支援」は、次のように整理できます。

計画相談支援は、障害福祉サービスなどを利用する方に対して、サービス等利用計画の作成やモニタリングを行う支援です。

特定相談支援は、基本相談支援と計画相談支援を行う事業です。計画相談支援は、市町村から指定を受けた特定相談支援事業所が提供します。

障害児相談支援は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどを利用するこどもについて、障害児支援利用計画の作成やモニタリングを行う事業です。

実務上は、計画作成を行う相談支援全体をまとめて「計画相談」と呼ぶこともありますが、法律上は「計画相談支援」と「障害児相談支援」は区別されています。

また、こどもであっても、居宅介護や短期入所などの障害福祉サービスを利用する場合には、計画相談支援が関係します。

年齢だけではなく、利用するサービスが障害者総合支援法と児童福祉法のどちらに基づくものなのかを確認しましょう。

あいまり行政書士法人では、特定相談支援・障害児相談支援の新規指定申請や、相談支援専門員の要件確認、運営規程、重要事項説明書、利用契約書などの作成をサポートしています。

相談支援事業所の開業をご検討中の方は、職員の採用や物件契約を進める前にご相談ください。